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変わる韓国、変わらない韓国―グローバル時代の民族誌に向けて (新書y)
※ 価格等のデータは日本時間 2009/01/09 04:36:47 時点のものです。
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諸所に引かれている社会学的・文化人類学的理論については、韓国という事例にうまく引きつけられているとは言えず、ギクシャクしているところも目に付く。とはいえ、豊富な韓国経験に裏打ちされた民族誌的記述に関しては一読の価値がある。
ソテジや「LIES/嘘」のように今となっては懐かしさの対象となった話題をはじめ、スポーツナショナリズムや中央アジアの「高麗人」、犬肉食などといったネタが丁寧に織り込まれている。全体としては、1990年代から2000年代にかけて韓国が経験した変化の断面を示して見せることに成功していると言えよう。
著者も後書きで述べているが、確かにこの本はタイトルをつけるのがむずかしいかもしれない。叙述はさまざまな分野にわたっているし、耳に入りやすい新たなパラダイムが提示されるわけでもない。
韓国を論じた書というと、へんなところに力が入っていて読んでいて辟易させられることも多いのだが、この本は対象への適度な距離感と広い視野が感じられ、なるほどと思わされる部分が多かった。内容は軽くはないが、文章は平易で読みやすい。
とくに第5章にある「中央アジアの高麗人」というトピックがおもしろかった。
「九割以上が祖国の言葉を失い、ロシア的な生活様式に慣れ親しんできた彼らにとって「本来の」言語と文化と誇りを取り戻させようとする韓国人の姿勢は、非常識なお節介にしか写らない場合も多い。ロシアの音楽や文化に親しんでいる彼らは、韓国の文化的求心力の実ははるか圏外に生きている。現地の複雑な状況を理解するまでもなく、ただ「ひとつ」になろうとする声高な呼びかけは、むなしく響くしかないのである。」
(同書149ページ)
韓国に生まれ育った韓国人だけが「正当」で「本来」の「中心的な」韓国人であり、他国の文化を身に着けている在外同胞は「中途半端」で「周縁的」で「一段劣った」存在だとする本国の韓国人の勘違いを、在日同胞は内面化しすぎていないだろうか。とくに韓国語ができないという面において、その傾向は顕著だと思う。そのような文化的正統に対する考えが、韓国文化の一面を語っているのは確かだが、自己中心的で迷惑なものであることには違いあるまい。
また、第6章の犬食にまつわるタブーを論じた部分は、日本ではあまり知られていない事柄も多く、興味深かった。